振れないペンライト
ごめんね、メンバー、錦戸くん。
コメントも見ました。
5人だけの動画も観ました。
9月5日、午後10時34分。
錦戸くんが脱退すると知って、6時間が経ちました。
でも私は、関ジャニ∞が5人で頑張ること、錦戸くんの決定を受け入れること。
まだ、できないでいます。
それどころか、もう関ジャニ∞を応援できないとすら思ってる。
何気なく見たラインの画面。
友人が送ってきた
「亮ちゃん退所だって」
の言葉。
亮ちゃん、ジャニーズ事務所からいなくなるんだ。
え、じゃあ、エイトからも?
『退所』って、こんなに重い言葉だっけ。
7月21日、ナゴヤドーム。
8色に光るペンライトの海を見つめ、スポットライトに照らされて、堂々と歌い踊る村上信五さん。
彼を『原点にして頂点のアイドル』だと思った。
十五祭のオープニング映像、MC、曲の選び方。
今、亮ちゃんがいなくなるという事実を知ってからだと、6人最後だからだったんだなって思う。
けど、あの日、あの夜、あの瞬間、あの場所で。
私は、6人の関ジャニ∞をやっと受け入れて、
6人で16年目に向かうのだと信じてた。
信じていた、なんの保証もなく。
今となっては阿呆らしくて、馬鹿みたいだ。
「ほんとに村上くんサイコー!エイトサイコー!」とか言いながら、ホテルのベッドでブログを綴った、あの夜の私。
滑稽だよ、馬鹿みたいだよ。
6人の16年目なんてさ、どこにもないんだよ。
6人の関ジャニ∞は、1年間の限定でした、チャンチャン。
すばるくんが夢を追いかけて、一人で旅立つんだと知ったあの日。
クサイ言い方かもしれないけど、
永遠なんてないことを知った。
7人の関ジャニ∞。
ずっと続くと思っていたそれは、もうない。
いつか、横山さんが「何十年後もこんなくだらないバラエティやってんねやろな」みたいなことを言った。
あの日の私は、笑った。
今の私は、もう笑えない。
嘘だ嘘だと唱えながら、心の中で泣きながらその日のノルマを終えて、帰り道にTwitterを見た。
姉の悪い冗談か、勘違いなんじゃないかって、一瞬だけ期待した。
でも、たくさんの人が「亮ちゃん、嘘でしょ」とツイートしているのを見た。
「ああ、嘘じゃないんだ」と実感した。
ごちゃごちゃした気持ちのままで、姉に半ば無理やり動画を観せられた。
観たくない!やだ!と突っぱねた。
画面に映ったのは5人だけだった。
今までそんなに気にならなかったヤスくんの小ささが、目立った。
あっさりとした動画だった。
すらすらと語る彼らの姿。
私の心はパニックだった。
ねえ待って、ちょっと待って。
なんでそんなさらっと次の話をするの、未来の話をするの。
こっちは6人になったこと、やっと飲み込めたんだよ。
なんで5人で立ってるのか、飲み込めてないよ。
追いつけなかった。動画を観ている間中、ずっと。
私の心はもう、追いつけなかった。
すばるくんが夢を追いかけて行った時、彼らは
「ファンを引っ張っていく」
と言ってくれた。
頼もしかった。
付いていこうと、懸命に走った。
きっと私が走り続けられたのは、彼らが『渋谷すばる』との思い出を、
彼がいたという事実を
決して隠すことなく、自然に、当たり前のように話していてくれたから。
そして、すばるくんが∞をやめる理由も、時間をかければ理解できたからだ。
すばるくんはいた。すばるくんは、ここで歌って踊って、笑ってた。
もう今は旅立ってしまったけど、
それは夢を追いかけたからだとわかってた。
今は、どうだろう。
亮ちゃんは、どうしていなくなったのだろう。
夢を追いかけたのか?
メンバーとの間で、何か仲違いがあったのか?
すばるくんのことがあったから、週刊誌が綴る言葉をまったく信じない、
耳を貸さないなんてことは、もうできない。
けれど、100パーセント信じることもできない。
あれらの言葉は、私たちが真実だと判断できるものではないのだ。
週刊誌の言葉を信じないとしたら、私たちが信じるものはただ一つ。
本人の言葉。
けれど、『脱退』というひどく重い事実の割に、今回亮ちゃんが残した言葉はあまりにも淡白で、あっさりとしているように感じられた。
え?それだけなの?と思わずにはいられなかった。
それに加えて、動画の中で一言も発されなかった『錦戸亮』という名前。
まさか、と思わずにはいられなかった。
彼らが時折話してくれた、すばるくんがいたという事実。
そして、夢を追いかけているすばるくんの姿。
それが、傷ついて、ボロボロになった私が関ジャニ∞を追いかけて走るエネルギーだった。
正直、ギリギリだった。
息を切らして、たまに痛むところもあったけど、
みんなも頑張ってるんだ
引っ張ってくれてる
懸命に走って行ってくれている
そう思って、大好きなみんなを追いかけた。
でもね、もう無理だ。
ごめんね、もう走れない。
追いかけられないよ。
どうして『錦戸亮』って言ってくれないの?亮ちゃんはいたんだよね?
亮ちゃんがいたってちゃんと言ってくれないと、さみしいよ。
亮ちゃんがいなくなったことが飲み込めないのに、
まるでいなかったみたいに振舞われたら、寂しいし、辛いよ。
亮ちゃん、どうして脱退するの?
夢を追いかけるの?メンバー同士でどうしても分かり合えなかったの?
どこに行こうとしてるかも言ってくれないのに、
いなくなることを理解できないよ。
亮ちゃんがいなくなるというダメージ。
それを受けた傷を治すためのものは、
供給されない。
それなのに、関ジャニ∞は先へ、先へと進んでいく。
私はもう追いかけられない。
それって、ファンとして、eighterとして、おかしいのかな。
元から明るい性格の友人は、もう47都道府県ツアーの話をしていた。
グッズ買いに行けるかな、どこでやるのかな。
辛くないのって聞いたら、
訳はわからないけど、5人を応援すると言った。
仲のいいジャニオタ友達は、
残った5人が大変なんだから、5人を応援してあげなよと言った。
ファンは、全てを「そうなんだね、そう決めたんだね」と受け入れて、
飲み込んで、進んで行かなくちゃいけないんだろうか。
辛いことがあっても、先へ先へと進んでいくみんなを
すごいね、と褒めるのがファンなのだろうか。
少なくとも、私には無理だ。
「そう決めたんだね」なんて、物分かりのいいことは言えない。
なんで?どうして?
疑問は尽きないし、疑問に思ったままじゃ受け入れることもできない。
先へ先へと進んでいくみんなに対して、「すごいね」と褒めることもできない。
だって、先へ進めるほど私のダメージは小さくない。
わがままで、物分かりが悪くて、最悪なファンだと我ながら思う。
ありのままのことを言ったら、友人は「そんなのファンじゃないよ」と怒った。
その通りだと思う。私は今、自分のことを『eighter』と名乗れない。
すばるくんが名付け、残していった大切なファンの名称を口にする資格などない。
こんなファンは置いてくのが正解だ。
だって、彼らの決定を受け入れて、飲み込んで進んでいくこともできない。
傷つきながらも先へ先へと進んでいくみんなに、頑張ってるんだから私も、なんて思えない。
最悪だ。こんなの、クズだ。
いまこの瞬間、私はeighterではない。
ただのワガママな害悪オタだ。
彼らのファンじゃないんだから、置いてかれたとか、追いかけられないとか、そんな傲慢な言い方はしない。
ごめんなさい、こんな最低なやつで。
ごめんね、応援できなくて。
あの日、あの夜、あの瞬間。
ナゴヤドームで8色に光ったペンライトの海と、スポットライト。
この景色の一部になっているのだと思うと、胸がいっぱいになった。
けれど、もうだめだ。
紫のペンライトは、もう、振れない。